
「脊髄小脳変性症は治らない」と言われた。
では、本当に改善する可能性はない病気なのでしょうか。
結論から言えば―― 完治は難しくても、症状が“改善”するケースは医学的にも報告されています。
「治癒」と「改善」は違います。 しかし、 ・歩ける距離が延びる ・転倒が減る ・呂律がはっきりする
それだけでも、人生の質(QOL)は大きく変わります。 この記事では、医学的なデータに基づいてどのような「改善」が期待できるのか、そして診断後にどう動くべきなのかをお伝えします。
1. 医学データが証明する「使えば変わる」という事実

リハビリと聞くと、「今の状態をなんとか維持するためのもの」と思われがちですが、決してそれだけではありません。
日本の研究データ(CAR trial)では、4週間の短期集中リハビリを行った結果、ふらつきなどの運動失調スコアが目に見えて改善し、歩行スピードが向上したことが報告されています。また、2年間ベッド上で全介助だった80歳の患者さんが、積極的なリハビリによって笑顔を取り戻し、劇的な改善を見せたケースも医学文献に残されています。
病気そのものの進行と、「体を動かさないことによる衰え(廃用症候群)」は別物です。 適切な刺激を入れれば、体は確実に応えてくれるという事実が、ここにはあります。
2. 問題は「あなたの体のどこを、どう使えばいいのか」
医学文献が示しているのは、「使えば変わる」という事実です。 しかし一番の問題は、「あなたの体のどこを、どう使えばいいのか」が分からないことではないでしょうか。
病院で「適度に運動してください」と言われても、自分に合った動きを見つけるのは簡単ではありません。
私たちは、40年間、神経難病の患者さんと向き合ってきました。 同じ“ふらつき”でも、原因は人それぞれです。
・小脳主導の揺れか ・足裏感覚低下による揺れか ・左右差が強いタイプか
そこを客観的に分析し、「今の揺れの質」を見極めます。 神経難病に特化し、“揺れの質”まで客観的に評価している鍼灸院は、全国でも多くはありません。
3. お薬や最新技術によるサポート

もちろん、現代の医療技術も患者さんの大きな支えになります。
- お薬による症状の緩和: TRH製剤(セレジストなど)を使うことで、脳の血流や神経の働きが活発になり、ふらつきが軽減するケースがあります。
- 最新テクノロジー: ロボットスーツ(HALなど)を用いた歩行訓練により、歩幅が広がり、体幹の傾きが改善するなど、明らかな歩行パターンの改善も報告されています。
こうした医療の力を借りながら、同時に「自分の体のクセ」を客観的に知り、正しい使い方を体に覚えさせていくことが、生活の質(QOL)を高める鍵になります。
4. 次の一歩を踏み出すために
「完治する薬はない」というのは、今の医学の現実かもしれません。 けれど、そのまま何もしなければ、使わない筋肉や神経から廃用(衰え)は確実に進みます。
正しく評価し、適切な刺激を入れれば、体は少しずつ反応を示すことが多いのです。
病気の名前に縛られて諦めてしまう前に、まずは今の状態を整理するところから始めませんか。 今の状態を知ることは、不安を減らすことにつながります。 ひとりで抱え込まず、まずはお話をお聞かせください。
脊髄小脳変性症の鍼灸外来
一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。
足部の温度変化を確認する検査の一例
「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」
「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」
私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。
当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。
脊髄小脳変性症の方では、
ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、
手足の温度分布に左右差が見られることがあります。
その一致を一緒に確認することで、
「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。
この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはまずありません。 感覚や印象だけに頼らず、今の体の状態を落ち着いて見つめたい方のための情報提供の場として、 ご相談をお受けしています。
参考文献
この記事は、以下の資料に基づき作成されました。
- 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018(南江堂)
- 脊髄小脳変性症のリハビリテーション(全日本病院出版会)
- 運動失調のみかた、考えかた―小脳と脊髄小脳変性症―(中外医学社)
- 脊髄小脳変性症マニュアル決定版!(日本プランニングセンター)
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